2017年02月28日

【レオ】ミケランジェロ 〜「ルネサンスの歴史(下巻)」より〜

 




 



ミケランジェロの章も面白いんですよ。



「芸術家列伝」を遺したヴァザーリは、ダ・ヴィンチではなく、このミケランジェロの方と交流が深かったようで、それゆえミケランジェロのエピソードがふんだんに語られているんですよね。



そして、モンタネッリが書いた「ルネサンスの歴史」の画家の章は、このヴァザーリが伝えるエピソードを主な資料としているので、生き生きとしたミケランジェロ像が伝わってくるのです。



15歳ころのミケランジェロは、こんな人だったそうです。



みずからに娯楽を許さず、友人を求めず、若い娘に目もくれず、陰鬱寡黙で喧嘩早かった。

ある時、ピエトロ・トリジアーノという男と諍い、こっぴどく殴られて、鼻が曲がってしまった。それ以来、ますます人間嫌いになり、性格がひねくれた。


 … とあります。



後世のわたしたちは、ミケランジェロの名を知っていても、この人が喧嘩早くて、若い頃に喧嘩をして殴られ、鼻がそれ以降ずっと曲がっていた、などということまでは、なかなか知りませんね。



それが原因で、人間嫌いになって、性格がひねくれたのかはわかりませんが、他人との関係は結構、面白おかしいエピソードが多いので、偏屈なところがあった人なのは間違いないのでしょうね。




恩人ロレンツォにとことん敵対するサヴォナローラを、熱烈に崇拝するようになったのは、主としてこの性格の類似のためであろう。


 … とも、あります。



ロレンツォというのは、コシモ・ド・メディチの孫で、フィレンツェの第一人者ですね。事実上の支配者であり、当時のイタリアの群雄割拠状態を、この人が中心になってまとめていた、というほどの大政治家です。



そのロレンツォが、ミケランジェロを可愛がったわけですが、宗教改革者のサヴォナローラは、ロレンツォに敵対していた人物だったわけです。



俗世に生きる政治家ロレンツォと、清廉潔白な宗教人生をよしとするサヴォナローラでは、根本の生き方からして違うので、フィレンツェの目指すべき道が、まったく正反対の方を向いていた。



ミケランジェロは、ロレンツォがパトロンになってくれていて、その保護を受けているのに、敵対者のサヴォナローラを崇拝するという、めんどくさい立場に自ら立っていたわけです。




それはともかくとして、



面白いのは、やはり有名な作品を描いていた時のエピソードなので、それを紹介しておきましょうか。



ミケランジェロは、ローマ教皇ユリウスとも仲が良くて、この教皇からの依頼を何度も受けて、仕事をしていたんですが … 



ある時、システィーナ礼拝堂の天井画を描いてくれ、とミケランジェロに依頼するんですよね。



しかしミケランジェロは、




自分の本業は彫刻であって、壁画の技法には通じていないと弁明し、その仕事にはラファエロの方がずっと適任であると提案もしたが、ユリウスは頑固に言い張って、遂に彼を陥落させた。

ミケランジェロは不本意のままに仕事にとりかかり、この作品が自分の最高傑作として美術史の中に永遠に残るようになろうなどとは、夢にも思わなかった。

仕事の膨大な量を考えて、5人の弟子をフィレンツェから呼び寄せたが、すぐに怠惰だと言ってクビにしてしまい、結局は独力で、この巨大な仕事に当たることになった。



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↑ この超大作を、たった独りで描いたのだといいます。毎日切れ目なく描きどおしで、それでも4年かかったそうです。



面白いのは、これを描いていた時の、ミケランジェロと教皇ユリウスのやりとりです。



この全期間を通じて、恐るべき教皇の虜囚となり、高い足場の上にへばりついていたのである。

仕事場に入って来るのは、教皇ユリウスだけだった。毎日教皇は礼拝堂へやって来て、足場の上にあがり、ミケランジェロの傍らに腰をおろして叱咤激励し、かれが少しでも愚痴をこぼすと、常に肌身離さず例の木杖を振り回し、ぶっ叩くぞと脅しつけた。

この言語に絶する苦闘の4年間は、ミケランジェロを20年分も老け込ませ、その身体を変形させ、視力を弱め、性格をさらに捻じ曲げた。


そりゃあ、そーでしょうよ(笑)。



4年間も、寝っ転がった姿勢で、天上を見上げながら絵を描き続けていたら、身体がどうかしたって不思議はありません。目も悪くなるでしょう。 



そんな思いまでして、こんな超大作を描き切ってしまったミケランジェロは、やはりスゴイ。 




だから、



この大仕事が完成すると、ローマ内外から大勢の見物人が詰めかけた。


 … そうです。



こんなミケランジェロですが、ミケランジェロ自身は、もともと彫刻家から出発していて、生涯、絵を描くことよりも、彫刻の方を好んでいたそうですよ。




そう言えば、あの有名なダヴィデ像も、ミケランジェロの作品ですしね。



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これは、身の丈が5メートル以上もあるので、それを見物人が観るには、下から見上げる形になるでしょう?



だから、下から見上げた時に、ちょうど均整の取れた肉体美に見えるように、上半身は意図的に大きめに作られているんだとか。



真下から見上げると、上半身は遠いから小さくなるでしょ?だから大きめに作った方が、見上げた場合には、ちょうど良い見え方になるんだって。



スゴイですね。考えていることのレベルが違う。



 



 



 




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posted by ガンレオ at 18:14 | Comment(0) | レオブログより | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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